博報堂スピーチライターが教える 口下手のままでも伝わるプロの話し方

 

タイトル:博報堂スピーチライターが教える 口下手のままでも伝わるプロの話し方

著者:ひきたよしあき

刊行:2019/4/15

 

 

 

 

選定の理由

どうしてこの本に行き着いたのか忘れてしまいましたあが、audibleに入っていたため読んで(聴いて)みました。

自分自身はそこまで口下手でもプレゼン下手でもない方だと自負はしていますが、博報堂スピーチライターという職業の方がどのような知見を持っているのか気になりました。

 

本の内容など

  • 上手なスピーカーやプレゼンターの真似をする
    • 小学生への講義の前には池上彰氏の動画を四六時中ずっと流し、その話し方やクセが自分に憑依するまで聴き込んだ。そしてそれを実際に真似する。
    • 普段から、プレゼンで上手だなと思った人の話し方は真似てみるようにしている。

 

  • 間をつくる
    • 口下手な人は言葉以外によって伝わる情報を意識する。
    • 間があると深く考えているように見えるなどする。

 

  • コミュニケーションは、相手を笑わせた者が勝ち
    • 必要なのは爆笑ではない。一服の茶でひといきつくときに出るほほえみ

 

  • 言葉に体温と体重を乗せる
    • 言葉のひとつひとつに信念を持つ
    • 自分で経験したものだけを評価する。口コミを参考にしない。そしてそれがおもしろかった/ 美しかった、またその逆のときになぜだろうと考える。

 

  • 「どうして●●と分かったのですか?」「△△は初めてです」などの相槌を使う。「さすが」「すごい」などの上っ面の相槌ではなく、真に理解した上での相槌で相手を気持ちよくさせる。

 

  • 自分の主体的な目的を動詞化する(一言で言い換える)。
    • 例、目的=連載を続けたい:「続けるとこんなことができる」「続けた先にこんなことがある」と、続けることを畳み掛ける。(この雑誌を愛している、など他の動詞を混ぜない)

 

  • 「私」より「私たち」、「あなたたち」より「あなた」
    • 「私たち」は当事者意識を醸成する。仲間であるということを潜在的に伝える。
    • 逆に「あなたたち」は自分がone of themに感じる

 

  • 語彙を増やす
    • 読書や映画鑑賞 → 相手に想像を膨らませるような表現を身につける

 

 

  • 「報告」の3つのマイルストーン
    • 状況:4W(いつ、どこで、だれが、何を)
    • 内容:結論や理由、根拠、対処法など
    • 感情:相手への思い、自分自身への思い、未来への思い、の順番で→未来への展望を口にして明るく終える

 

  • 「反論」の3つのマイルストーン
    • 確認:相手の話の中で3つのキーワードを見つける。すぐに反論しない
    • 受容:意見を受け入れる必要はない
    • 提案:相手の意見をふまえた上での提案。(反論に反論で返さない)
  • 提案できる人が、会議のイニシアティブを取ることができる。

 

  • 「広告」の3つのマイルストーン
    • 悩み:気付きを与える。
    • 自慢:商品の自慢をする。客観的なUSPではなく、熱量のある自慢。
    • 保証:売り込みすぎると過大ではないかと疑りたくなる。その疑いをフォローする

 

  • 「スピーチ」の3つのマイルストーン
    • 共有:ここにいる人だけがわかる話
    • 秘話:ここにいる人だけが知ることができる話
    • 感動:気持ちを一つにする

 

  • 「面接」の3つのマイルストーン
    • 信念:自分の話 自分の信じる意志とそこに至る経験を話す
    • 理念:相手の話 理念への共鳴を伝える
    • 未来:一体感の演出

 

  • 「相談」の3つのマイルストーン
    • 共感:同じ悩みを体験した同志という立場になる
    • 一体化:この人も自分と同じだったんだ、と思ってもらう
    • 提案:相手の背中を押す一言を言う(相手がすでに決めている方向に押す)

 

 

プレゼンの極意

  • プレゼンの3つのポイントは「ロゴス(論理)」「パトス(共感)」「エトス(信頼)」
  • プレゼンで勝敗がつく時はいつも51:49。同レベルの会社が競うのだから大差はない。しかし、1の差は必ずある。その差は論理よりも「この人たちに任せたい」「この人たちと働きたい」という信頼。その信頼はプレゼンターである自分にかかっている。
  • プレゼンまでの準備
    • 原稿は前々日までに仕上げる。前日は見なくてもすらすらと出てくるようになるまでにしておく。
    • 当日朝はニュースや新聞を見て情報収集をする。プレゼンで重要なことはプレゼン中だけではない。プレゼン前の短い会話がプレゼンそのものを左右することがある。
      →自分の中にその日の「自分新聞」を作る。だいたいのことを打ち返せるように準備しておく。
    • 1時間早く会場に着き、ロビーで人の流れを見たり近くのカフェでお茶をしたりする。プレゼン先の人たちが感じていることを自分も感じながら馴染む感覚を得る。
    • トイレでやること:笑顔の確認。身だしなみの確認。ジャンプして緊張をほぐす。(体のバランスを崩すと神経がそちらに向くので緊張が和らぐ)

 

  • どんなに話術に長けていても中身がないと意味がない
    • おもしろい話=オリジナリティのある話(ここでしか聞けない、この人からしか聞けない)
    • 生まれてからの自分のエピソードブックを作る
    • その日あった興味深かった出来事や言葉を毎日1,2個書き留める。

 

 

感想

さすがスピーチライターというべきか、わかりやすくてサクサク読めます。

かつ、どれもメモに残しておきたいことばかり。

 

たびたび出てくる事例や例示もとてもわかり易く、言葉の言い換えの例などはここに転記しきれないけれどどれも読んでいておもしろいです。プレゼンの練習をする時間があるときには読み返したいかも。

 

そしてこれほどの大物こそやはりコツコツ努力されているんだなあと頭が下がる思いにもなりました。

 

個人的には

  • 提案できる人が、会議のイニシアティブを取ることができる。

という部分がグッときました。