タイトル:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
著者:松尾 豊 (著)
刊行:2015/3/11
選定のきっかけ
前回読んだChatPGTの本がやや物足りなかったので、もう少し何か読みたいなと思ったときに、ふと東京大学の人工知能研究者である松尾豊先生のこちらの著書が目に入った。
レビューを見てみると、「2015年と少し前の本ながら非常に参考になる」とあり、そうそう、そういう本が読みたかったのだと思い手に取った。
本の内容など
専門家によって人工知能の定義は異なる
AIには過去2回のブームがあり、今回のブームが第三次AIブーム。
ビッグデータの取得と解析が可能になることで、大規模データの機械学習が可能になった。
AIには段階(レベル)がある
アルバイトレベル 言われたことができる(箱を大中小に仕分ける)
一般社員レベル ある程度応用が利く
マネージメントレベル 自分で考えて行動できる(与えられたデータから仕分けルールを作り、それに当てはまらないものを除外することもできる)
巷に謳われている 'AI活用'の商品が、このうちどれにあたるのかを考えてみてほしい。
AIも万能ではない
- シンボルグラウンディング問題
記号(Symbol:シンボル、要するに文字列/言葉)が実世界の意味につながっている(grounding:接地している)かを論じる問題である。人間は記号と実世界の意味を結び付けて言葉を理解している一方、(特にルールベースや知識表現ベースの)コンピュータ/人工知能では必ずしも結び付いていない、つまり言葉を理解しているわけではないと主張されている。
シンボルグラウンディング問題(Symbol grounding problem)とは?:AI・機械学習の用語辞典 - @IT
- フレーム問題
AI搭載のロボット(以下、AIロボット)が何かの課題を実行しようとした際に、その課題に関係のあることだけを選び出して(=フレームを設定して)、適切に実行するのは、現実的には非常に難しい、という問題を指す。
- 特徴量を見出すのが難しい
- シマウマをどう定義するか?
感想
漠然とAIってなんかすごい、怖いと思っていた中で、朧げにもその全容を垣間見ることができたように思う。
まず驚いたのはAIの定義すら、専門家の中では曖昧であるという点だ。つまり、私たちがAIについて話すときは、AIの何について話しているのかを定義するところから議論しないことには生産的な話にはならないだろう。
AIに段階があるというのも、言われてみればそうなのだが、やはり目から鱗が落ちる気持ちだった。
AIという言葉に踊らされて高性能だと錯覚しがちだが、具体的に何が新しいのか、どういったことができるのかを冷静に見る必要がある。
色々と書いてあったが、こちらのPDFにまとまっている内容で概ね網羅されているのでこちらを見返すと良いかと思う。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/smartsme/2017/170517smartsme03A.pdf