タイトル:同志少女よ、敵を撃て
著者:逢坂 冬馬 (著)
刊行:2021/11/17
amazon audibleにて読了
選定のきっかけ
audibleの2023年視聴ランキングで2位か3位にランクインしていたので目についた。
本書のタイトルはなんとなくどこかで見聞きしたことがあるような気がしていたが、本の装丁からしてラノベの類と認識しており全く興味がわかなかった。
直感的に自分の興味のある時代と文脈であると感じ、最初は軽い気持ちで聞き始めた。
感想
軽い気持ちで読み(聴き)進めたのもつかの間。
第一章から衝撃的な、心がズーンと重くなるような描写。
村が焼き払われ、隣りにいた母が殺されるという惨状は想像を絶する。
読み進めていた途中、ふと思い立って本書について検索してみた。
これはフィクションなのかノンフィクションなのか、というかなり浅い疑問が浮かんだからだ。
調べてみると、半年ほど前に読んだ「戦争は女の顔をしていない」も影響しているとのことで、ますます興味を掻き立てられた。
kaori-reading-journal.hatenablog.com
それを念頭に置いて読むと、要所要所で前出の書に載っていたエピソードが引用される。
個人的に一番辛かったエピソード、我が子を空中に投げろと指示されてそれをドイツ兵が銃撃し弄ぶ。そんな姿にされるくらいなら、と抱きかかえた我が子を地面に投げつけて絶命させる。というものも登場した。
思い出すだけで苦しくなる描写だ。
フィクションか、ノンフィクションか、という点でいえば、概ね史実に基づいたフィクションというべきか。どこまでが史実でどこからが脚色なのかその境界を明瞭に推し量ることはできない。
個人的にはフィクション、特にファンタジーが苦手なので、この概ね史実っぽい感じのテンションが一貫している点はありがたかった。
すべての戦場の描写が辛く、胸が苦しくなる思いがした。
聞いていられずイヤホンを取り外して視聴を中断することもままあった。
記憶に鮮明の残るのは、
カザフ出身アヤの死、
爆弾犬が登用され、また彼らが射殺される場面、
セラフィマが拷問に耐える場面、
そして、「戦争は女の顔をしていない」でも度々取り上げられていたような、戦時中の女性の扱いだったり、停戦後に女性が受けた辱めに関する描写だった。
看護師のターニャが「こんなに人々は苦しい思いをした。だから二度と戦争は起きないだろう」と告げた場面も、今の中東やロシア・ウクライナ情勢を鑑みると心が痛む。
各章の冒頭では第二次世界大戦に関する本からの引用があり、ドイツ兵が書き残したメモなどを知ることができる。(このあたりは明らかな史実であろう)
たびたび登場していた「ベルリン陥落 1945」が気になったのだが、価格に怯んだ。
図書館で探してみるとしよう。
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